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iMacが降ってきた
高校時代の友人がiMac mid 2010を譲ってくれた。友人が古いiMacを処分しようとした際に、ガジェット好きな私なら引き取ってくれるんじゃないかと思い、連絡してくれたのだ。
譲ってくれたのは2010年モデルのiMac 27″。古いモデルとは云え、27インチの広大なディスプレイを備え、CPUはCore i7、RAMは16GBを搭載していて、購入当時は良いお値段のモデルだったと推察できる。
iMacを起動したところ、OSはHighSierraがインストールされていた。Core i7に16GB RAMを積んでいる割には動作のモッサリ感が強い。おそらく、内蔵ストレージがHDDであるのが問題だと思い、SSDを追加することにした。
SSD換装ではなく、「追加」
iFixitなどで情報集したところ、iMac mid 2010は、SATAポートが1つ余っているようだ。このiMacには光学ドライブも搭載されているので、SATAポートが合計3つ搭載されていることになる(もとから内蔵されているHDD用、光学ドライブ用、空きポート)。
iMacのSSD化では、既存のHDDや光学ドライブをSSDに交換する「換装」が一般的な方法のようだが、iMac 2010には空きポートがあるので、SSDドライブを「追加」することにした。つまり、空きポートにSSDを繋ぎ、もとから内蔵されている光学ドライブとHDDもそのままにしておく、という方針を取る。
これなら、この世代のiMacのメリットである光学ドライブを潰さなくても良いし、既存の1TB HDDも引き続き利用できて便利だ。最近のApple製品では内部ポートが余っていることはまずないので、この世代のiMacが転がり込んできてラッキーだった。
3日がかりでSSD化
基本的な作業手順はこちらの動画を参照した。英語の動画だが、作業手順が分かりやすい。
作業ステップ
大まかな作業工程は以下の通りだ。
- 液晶パネルを外す
- ロジックボードを外すために、その手前にあるHDD、光学ドライブ、グラフィックボードを外す
- ロジックボードを外す
- ロジックボードの裏側の空きSATAポートにSATAケーブルを刺す
- 既存のHDD電源ケーブルを、二股ケーブルに交換する
- SSDをiMac筐体内の空きスペース(HDDの裏側など)に押し込める
- ロジックボード、グラフィックボード、光学ドライブ、HDDをもとに戻す
- 液晶パネルを戻して完成
使用工具・部品
以下の工具を使用した。基本的に吸盤とドライバーさえあれば作業可能だが、軍手やピンセット、ラジオペンチがあると作業しやすい。
工具
- 吸盤
- トルクスドライバー (小さいやつ)
- プラスドライバー
- ペットボトル
液晶パネル保護アクリルを外すための吸盤は100円ショップでで売っているもので十分。ペットボトルは、液晶パネル裏配線を取り外す際にスタンド代わりに使う(後述)。
トルクスドライバーはどの番数を使ったか覚えていないが、手元にあったT3〜T10のセットで事足りた。確か、T3を多用したと思う。
部品
SSDは安いやつをテキトーに買った。
ロジックボードのSATAポートの周辺に空間的余裕が無いので、SATAケーブルはL字のものを選ぶ。SATAポートは挿せる向きが決まっているので、L字コネクタは2種類ある。iMacでは、 ロジックボード側が「上L型」でないと挿さらないので注意が必要。ボクは見事に逆向きのケーブルを買ってしまい、買い直す羽目になった。なお、SSD側コネクタはL字でもストレートでも何でも良い。長さは30cmもあれば十分で、長すぎるとiMac内に収まらなくなってしまう。今回はこのケーブルを使った。
電源ケーブルは、二股に分岐しているものを用意する。ロジックボードにはSATAポートの空きはあるが、電源ポートの空きは無いため、既存のHDD電源をSSD用に分岐させる必要があるからだ。
用意したパーツ。写真に写っているSATAケーブルは片下コネクタなので、このiMacには使えなかった。 誤ったケーブル(下L字コネクタ)を挿そうとしている様子。挿さる訳がない。
液晶パネルを外す
この世代のiMacは最近のiMacと比較して圧倒的に分解・部品交換がしやすい。部品が隙間なくギチギチにつまっているのがApple製品の特徴だが、このiMacは本体内部に空間的余裕があるので作業がしやすい。
100円ショップで買った吸盤で液晶パネルを保護しているアクリルパネルを取り外し、液晶を固定しているネジを外す。液晶を持ち上げて、液晶と本体を繋いでいるケーブル4本を外せば、本体内部のパーツにアクセス可能となる。液晶パネルは結構重量がある(約8kg?)ので、片手で液晶を支えながら、もう片手でケーブルを外すというのはしんどい。ペットボトルで液晶パネルを支えながら作業してみたら調子が良かった。


SATAポートは何処
事前に調べた情報によれば、空きSATAポートはロジックボードの裏側にあるらしい。表側(液晶パネル側)からではSATAポートは視認できないが、手探りで裏側のSATAポートにケーブルを挿せるらしいのでtryしてみたが、まったくうまくいかない。仕方がないので、ロジックボードを取り外すことにした。
ロジックボードを取り外すためには、まずその手前にある部品を外す必要があり手間がかかる。グラフィックボード、光学ドライブ、ロジックボードを固定しているネジを外せばロジックボードが本体から離れる。この状態になればSATAポートが目視できるので、SATAケーブルを挿すことができる。




ロジックボードが戻らない
あとは、ロジックボードをもとに戻し、SSDにSATAと電源を繋げば完成。なのだが、ロジックボードが本体に収まらなくなってしまった。もともと、ロジックボードは隙間なく本体にハマっていたので、寸分違わず元の位置に戻す必要がある。角度を変えたりしながら何度もロジックボードを本体に挿入するが、どうしてもハマらない。一旦頭を冷やして翌日tryしてもうまくいかない。結局、更に次の日になって、ロジックボードを力ずくにたわませながら押し込んだところ、うまくいった。知恵の輪のように、スルっとロジックボードが収まるポイントがあるのだと思いこんで試行錯誤を繰り返していたが、力ずくで押し込む必要があったのだった。


SSDを収容
ロジックボードが収まったところで、ついにメインディッシュSSDの登場だ。前工程でロジックボードに繋いだSATAケーブルをSSDに挿す。既存のHDD電源ケーブルに、用意した電源分岐ケーブルを繋ぎ、既存のHDD、SSDのそれぞれに挿す。SSDは本体のどこかしらの空きスペースに押し込めば良い。光学ドライブとHDDの間のロジックボード裏にわずかな空間があるので、そこにSSDを収容した。







液晶を戻して完成
あとは、取り外していた各種部品を戻して完成だ。液晶パネルを固定しているネジが、本体に埋め込まれているマグネットに吸い寄せられて、2本ほど行方不明になってしまったが、まぁ問題ないだろう。
謎のパッチでカテリーナ導入
SSD追加作業後、無事起動を確認できた。この世代のiMacは最新のmacOSをインストールできないので、macOS Catalina Patcherという謎のパッチを当て、CatalinaをSSDにインストールした。
SSDにしたお陰でパフォーマンスは大幅に改善された。だが、やはり10年前のマシンということもあって、特にグラフィック周りが弱いと感じた。Launcherpadの描写やウィンドウアニメーションなどでフリーズすることがあった。
また、最新のOSにしたとはいえ、ハードウェアに依存する以下のような機能は使えなかった。
- Airdrop
- Handoff
- Powernap
Steve’s Bootcamp
BootcampでWindows10を導入した。普通にBootcampウィザードに沿ってWindowsをインストールしようとしてもエラーが出まくった。SSDを再フォーマットしてやり直したり、別のPCでWindowsのインストールUSBを作成し、そこから起動したり試行錯誤を繰り返したところなんとかインストールできた。
macOSよりもWindows10の方がサクサク動作した。Windowsはあらゆるハードウェアでユニバーサルに動くように設計されているので、古いマシンにはWindowsが向いていると感じた。
古いCPUとはいえ、一応Core i7だし、RAM16GBだし、AMDのグラフィックを積んでいるのでゲームなんかもできるんじゃないかと思い、CoDをインストールしてみたが、グラフィックボードの型番が古すぎて起動不可だった。


Target Display
高負荷な作業には耐えられないものの、ブラウジングやOffice作業だったらiMacにインストールしたmacOSやWindowsで問題なくこなせるだろう。だが、27インチの広大な液晶をその程度の作業に割り当ててはもったいないと思い、Target Display Modeを試してみることにした。
Target Display Modeとは、iMacを別のMacの外付けディスプレイとして機能させるモードのことだ。Target Display Modeは執筆現在、オフィシャルなサポートが終了しており、古い世代のMacでのみ使用できる。
このiMac 2010と、普段使っているメインマシンMacBook Pro 2019はTarget Display Modeに対応しているので、iMacをMacBookのセカンダリディスプレイ化してみた。
iMacの広大なディスプレイ領域で、MacBook Proが操作できて、非常にユーザー体験が良い。
サードパーティ製モニターではなく、iMacをセカンダリディスプレイにすることで、MacBook本体液晶とセカンダリディスプレイのカラープロファイルが揃うので、グラフィック系の作業がしやすいというメリットも有る。デザイン的にも、iMacはMacBookと並べた時に統一感がある。
そのような経緯で、iMac 2010はTarget Display化するのがベストな運用方法だという結論に至った。問題点は、接続元(ホスト)となるMacが2019年までに発売されたものに限られるということ。ちなみに、Target DisplayなiMacを活かしたデスク環境を別の記事で紹介している。ボクが持っているMBP2019はギリギリセーフだが、流行りのApple Silicon Macに買い替えたらTarget Displayできなくなってしまう。さて、どうしようか。




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Photos taken with; FUJIFILM X-T30