HARIO | V60 Drip Scale VST-2000B

サイエンスの味がする

コーヒーは哲学、情緒的なものだとする主張も多いが、私はコーヒーとは科学だと思う。豆の量とお湯の量、抽出時間を定量的に分析すれば、誰でもバリスタ並みのコーヒーが淹れられるはずだ。即ち、そこには科学的再現性が存在する。漏斗と濾紙を使って抽出液を得るというコーヒーをドリップするプロセスは、化学実験そのものではないか。となれば、コーヒーを科学的に計量する道具が必要だ。

私も以前は、たかがコーヒー1杯のために秤を使うなんて馬鹿らしいと思っていた。だが、最近自宅のキッチンスケールが壊れたので、その代替品として普通の秤ではなくコーヒー用のものを買ってみることにした。その程度の動機づけである。

なぜ他製品ではなくこのコーヒースケールを購入したかというと、それしか選択肢が無かったから。コーヒー用と銘打って売り出している信頼できるメーカーのスケールはHARIO製品しか無かった。計測機器なので、ノーブランド品はやめておいた。HARIOは実験器具用のガラスメーカーとしての歴史が長いので、今回のテーマであるエビデンス・ベースドオン・コーヒーにふさわしいのではないかと思う。

コーヒードリップ専用の秤でなくとも大丈夫な気もするが、ドリップ中に100℃近い抽出液を入れたサーバーを秤皿の上に載せることになるので、やはり専用品を買ったほうが安全だろう。国内の大手秤メーカーにタニタがあるが、私が今まで買ったタニタ製品は購入後1年経ちメーカー保証が切れた絶妙なタイミングで故障することが多かったので、同社製品は買わないことにしている。

科学的再現性の春

いくつかのコーヒー指南書と、バリスタ系YouTuberの解説動画で勉強したところ、お湯200gに対して、豆16gというのが一般的な適正分量らしい。抽出時間は、蒸らし1分、本抽出2分というメソッドを採用する。

この手順に従ってコーヒーを淹れた。同じ豆を使って、1日2回の抽出を2週間ほど続けたが、毎回同じ味の抽出液を得られた。つまり、ドリップコーヒーの「基準の味」を得られた訳だ。今までは、淹れたコーヒーが苦いと思ったときに、豆を変えたから苦いのか、淹れ方のせいで苦味が増えたのか判断がつかなかった。だが、毎回同じ手法で抽出すれば、対照実験的に豆の違いを明らかにできる。また、基準の淹れ方を参照しつつ、豆の質量などの各パラメータを操作することもできる。今日はアッサリめに淹れてみようだとか、カフェオレに合う味にしてみようというカスタマイズも容易だ。

なるほど、これが科学的再現性というヤツか。抽出に関するデータを定量的に表せるので反証可能性も同時に兼ね備えている。小保方さんも教えてあげたい。これが、現代のコーヒー。これが文明が生み出した科学の味。

ところで、冒頭でコーヒーは哲学ではなく科学であると述べたが、もともと科学は哲学から派生した。そう考えてみれば、コーヒーは哲学であるという主張こそ正しいのかもしれない。科学的手法でコーヒーを淹れ、情緒で味わい、哲学として概念化するプロセスこそがコーヒーなのかもしれない。しらんけど。

ぼったくりモデルもある

秤皿がシルバー仕上げかつ取り外し可能で、ディスプレイにバックライトが付き、USB充電に対応した上位モデルも存在するが、基本性能に差はない。たったこれだけの機能が追加されただけで実売価格6000円台というのは高い。ちなみに定価は10,000円。さすがにぼったくりすぎではないか。私が買った下位モデルの方が単4電池駆動なので扱いやすいし、オールブラックのデザインも好みだ。上位モデルがType-C充電可能だったらもしかしたら買っていたかもしれないが、micro USB搭載だ。Type-Cモデルが出たら散財待ったなしなので、そんなモデルが発売されないことを切に願う。


This Product » HARIO V60 Drip Scale VST-2000B [Amazon.co.jp]
Related Product » HARIO V60 Drip Scale VSTM-2000HSV [Amazon.co.jp]

Photos taken with; FUJIFILM X-T30

この記事は、所有物を羅列する連載企画 “MyFavorite Things” に属します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

eighteen − fifteen =